ゼロコロナ政策を固守している中国で魚を対象に武漢コロナ核酸PCR検査を実施する映像が公開され議論を呼んでいる
香港のサウスチャイナモーニングポストのSCMPの先月31日付の報道によると、上海のある水産物市場で防疫要員が魚の口の中に綿棒を入れてかき混ぜる姿の映像が公開された。
この映像は先月27日に撮影され、魚を捕っている人は現地の商人だという。
映像には「魚を捕った手を放さないように」と呼び掛ける防疫要員と「魚には噛まれない」と答える水産物市場商人の声も反映されている。
中国上海市の水産物市場から仕入れたエビを相手にPCR検査を行う防疫専門家の様子
SCMPは「中国現地では生きている魚にPCR検査をすることが医療資源の無駄だという批判が出ている」とし「ネチズンの間では武漢コロナ検査の結果、陽性なら魚が他の水槽に隔離されるのか」という嘲弄も出ていると伝えた。
続いて「中国では鶏や猫だけでなく自転車や郵便物、机、椅子を対象に武漢コロナ検査をする画像が簡単に見られる」と付け加えた。
また「中国本土では武漢コロナが拡散するのを防ぐための封鎖措置が行われており、魚を対象にしたPCR検査は食品の安全を守るための努力の一環」と付け加えた。
中国の防疫当局は動物が人に武漢コロナを伝播できると判断してきた 今年1月には河南省杭州市の防疫要員がニンニクの葉を対象に武漢コロナ検査を行う映像が話題になった。
武漢事態以降、最悪の武漢コロナ状況
中国で魚や鶏、猫、各種事物に対するPCR検査が続いているのは、最近、中国内の武漢コロナ状況が連日最悪を記録しているためだ。
中国国家衛生健康委員会の発表によると、現地時間で先月29日の一日で31の省·市·自治区で発生した武漢コロナ感染者は8655人だ。 前日の6886人に比べて2000人近く増えた数値だ。
これは海外流入事例を除いた中国本土内地域の感染者数であり、特に上海で1日だけでおよそ5982人の感染者が確認された。
武漢コロナ検査を行う中国医療陣の資料写真上の
海西当局は、黄埔江を中心に東西に分け、逐次封鎖し、全数検査を開始した 封鎖期間は来月4日までで、これによって当分の間、上海の確定人数は増えるものとみられる。
「中国の経済首都」と呼ばれる上海の段階的封鎖が、中国経済全般に影響を及ぼすという予測が出ている。
ブルームバーグ通信によると、香港中文大学の研究チームは、上海が全面封鎖されれば、封鎖期間に中国の実質国内総生産GDPは4減少すると推算した。 上海と北京、天津、重慶の4大都市が同時に封鎖されれば、GDP減少規模は1~2にまで拡大すると予想した。
これに先立ち、中国当局は、世界ITハブと呼ばれる深圳で確認者が続出すると全面封鎖を決定したが、大都市が相次いで封鎖されると、現地では「武漢コロナパンデミック」初期の2020年初め、「武漢事態」以後、最悪の状況だという懸念も出ている。
3連任を決定する第20回党大会を控え、ゼロコロナを固守する習近平議員
中国の習近平国家主席は今秋、第20回党大会を通じて3期連続当選という歴史的目標を達成する前に、国内外の混乱と変数を静めるために、「ゼロコロナ」という強力な政策を固守している。
しかし、ゼロコロナ政策がかえって中国経済成長率の足を引っ張るだろうという予測が相次いだ。
中国は今年の経済成長率の目標値を55前後と示したが、米投資銀行のモルガンスタンレーは、「中国が都市全体の封鎖のような厳しい防疫措置を固守するなら、今年の経済成長率の予測値が0~6ポイント下がることもありうる」と見込んだ。
オーストラリアの主要銀行であるANZ銀行も、今年、中国経済は5成長に止まるだろうと見込み、上海の封鎖措置は5月初頭まで続くだろうと見込んだ。