イギリスの小説家トールキンが1954年に発表したファンタジー小説「ロード·オブ·ザ·リング」を原作として作り、2002年に公開された映画『ロード·オブ·ザ·リング』2作目の『二つの塔』では、主人公フロドが悪の本拠地モルドールに行った時、敵に見つかる危機に瀕すると、エルフ妖精たちがくれた魔法の布で自分と一行を覆って岩に見えるような幻想を作って危機を免れる場面が出てきます
朝鮮が清の侵攻を受けた丙子胡乱の時代、数多くの人々が漢陽を抜け出して避難しました そのうちの1人がいて、突然清軍に襲われたのです 山や野原は清の軍隊でいっぱいで、もう終わりだと思い、絶望に陥りました
そんな中、ある士人と使用人が松の木の下に馬を縛って長さが何幅もある広い白い布でカーテンを張り、その中で悠々自適に過ごしながら清の軍隊を安らかに見守る姿が彼の目に飛び込んできました 避難民は急を要する中でもわけが分からず、ソンビに近づいて尋ねました
「あなたはあそこにいっぱいの蛮族の軍隊が見えない。 生きたければ早く逃げないと。 なんでここでじっとしてるんですか?」
するとソンビは笑いながら平然と答えました
「どうせ両足で走って逃げたら馬に乗って素早く走る蛮族の軍隊に殺されたり捕まるのは同じではありません。あなたが生きたいなら、このテントの中に入りなさい」
その瞬間、避難民は学者が狂っていると思いました しかし、よく考えてみると、逃げても清の軍隊に捕まって死ぬのは同じなので、かすかに期待をかけてソンビが張っておいたカーテンの中に入りました
清の軍隊は目に見えるように人々を殺したり捕らえたりしました ところが、どういうわけかソンビ一行が座っているカーテンだけは全く触れませんでした まるでカーテンが目に見えないように振る舞ったのです
夜が明けるまで、テントの中にいた人たちは皆無事でした 避難民は、なぜ清の兵士たちが自分とソンビ一行を放っておくのか、訳が分からず戸惑いながらも安堵のため息をつきました
いつのまにか日が暮れて清の軍隊は皆別の場所に行ってしまいました 清軍の襲撃を一日中受けましたが、ソンビ一行と避難民は生き残りました
席を外して立ち上がったソンビは、使用人にカーテンを閉め、馬を縛っておいた紐を解くよう命じました 避難民は、その士人が何か不思議な能力を持っているので、大騒ぎを避けたと思って名前を尋ねましたが、士人は答えず、そのまま馬に乗って召使いと一緒に駆けつけてしまいました
無事に危機から逃れた避難民はあちこち歩き回り、丙子胡乱が終わると漢陽の家に帰りました そして、自分と一緒に避難し、清の軍隊に捕まって捕虜になって解放されて帰ってきた人に会い、過去の避難で清の軍隊と出くわしたことについて話しました
その時、避難民は自分がソンビが張っておいたテントの中に入ったことを思い出し、彼になぜ清の軍隊が自分を見なかったのかと尋ねました すると彼は驚いてこう答えるのでした
「松の木の下に広げておいた白いカーテンとは…」 私はその時そんなのを見ませんでした その代わり、高くて丈夫な城壁と深い堀の周りに掘られた水路があったため、清の軍隊はあえて触れることができなかった
つまり、ソンビが広げた白い布は、人々に実際の物ではなく、城壁や堀という幻想を感じさせる神秘的な能力を持つ宝物だったのです
このような設定こそ、ロードオブザリングの魔法の布と驚くほど同じです 時代に関係なく人の考えは皆似ていますが、その部分で林坊がトールキンより早かったと見るべきでしょうか